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金沢・ぶどうの木

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豊かな里を未来へつなぐラシェットエリア。ぶどうの木のサステナビリティへの挑戦。

2021.06.10

始まりから、これまでのラシェットエリア。四季を通してさまざな表情を見せる。

ぶどうの木本店がある金沢市岩出町。ここはかつて豊かな水田地帯でした。
しかし、時代と共に少しずつ耕作放棄地が増えていき、こんな人里もイノシシなどの獣害に見舞われるようになります。
ぶどうの木では約10年前から、そんな場所を少しずつ農園へ再生する活動を続けてきました。
しかし、増え続ける放棄地から里を守り続けることへの根本的な解決にはなりません。

ラシェット計画着手前のエリア。イノシシだけでなくマムシまで出没したのがショック!

抜本的な改革が必要だと分かってはいても、
ぶどうの木の創業者は、当初この地に手を入れることに消極的でした。
自然と格闘しながら、水田に適した土壌と灌漑設備を築いてきた父祖たちの努力を
子供のころから痛感していたからです。

しかし、見慣れた里が荒れ始める姿を目の当たりにしたそのとき、考えは変わったと語ります。

ここを水田として維持することはできないかもしれない。
それでも今日生きるわたしたちが、この地を豊かに次世代につないでいくことが大切なのだと。

アースケイプ 団塚栄喜氏との出会い

そんな中、著名なランドスケープデザイナーの団塚栄喜氏率いるアースケイプさんとの出会いから、新しいプロジェクトが生まれました。それがこの「ラシェット 」プロジェクトです。

ラシェット(L’assiette)とは、「お料理のひと皿」を意味するフランス語。ぶどうの木が食を通して豊かさを提案してきたように、この里に豊かな料理の一皿を描こうとするものです。

上の画像は完成イメージの一部。輪っか部分を歩けば、農園や蓮池など、農や自然、人が憩うシーンと次々に巡り合う。

直径90mの円形の農園を中心とするエリアを彩るのは、菜畑、養魚池、れんこん畑、果樹林、花畑、芝生など。さまざまなパーツが交錯する円道を進めば、「人×農×自然」をつなぐ景色に次々と出会える空間をイメージしました。

アースケイプさんで、このプロジェクトを担当くださったのは、石川県美川町出身の岩村卓弥氏でした。高校卒業後は海外の(超有名)大学に進学され、その後の活躍の舞台もずっと海外。今回ご一緒させていただけたことに、土地がゆかりの人を引き付けるような運命的なつながりを感じました。
(岩村さんは独立されて、新たなランドスケープデザイン事務所「somewhere design studio」を設立、まもなく法人化されるとのこと。ますますのご活躍を祈念しています!)

自分たちの里を自分たちで守る。ぶどうの木の新しい取り組みがこうして始まりました。

身近な資源と地域の協力に支えられて

お皿の農園の着工にあたって、まずは土砂が必要になりました。
それには近くを流れる森下川・金腐川の氾濫防止のための掘削工事から排出される土砂を活用。
道づくりの他に、畑には向かない粘土質の土壌改良に利用しました。
水は、そばを流れる河原市用水と山からの湧き水で、この農村地区を長い間潤してきた水源から。
これまでの灌漑施設を補修しながら利用させていただいて、ため池を作りました。

ラシェットエリアへ運び込まれる土砂。近くの川の掘削工事で出たものをで利用させていたただきました。


これらの背景には、地域のみなさまのご理解とご協力がありました。ラシェット計画に共感いただき、自分たちの土地を任せてくださったのですから。
また、池や道を作ってくださった地元の西川建設さんのご尽力も忘れられません。夕暮れ、作業を終えてラシェットエリアを見下ろせる位置にたたずむ西川さんの姿を、毎日のように見かけました。

自分たちの里を、自分たちで未来へつなぐ

ラシェットエリアはいつ完成ですか?と聞かれることがあります。
形にするだけなら、もう完成かもしれません。しかし、そうではないはずです。
なぜなら、形を作り上げることが目的ではなく、自分たちの手で自分たちの里を守っていくことが目的であるプロジェクトだからです。

ただ、自然は厳しいものです。
長雨や日照りでぶどうの木農園の畑も多大な被害を受けました。
攻撃的な外来種の草花や、基本的なスタッフ不足など、エリアの維持・管理の難しさにも直面しはじめています。

少しずつ進んでいることもあります。
ぶどうの木農園で作られた野菜をレストランで使用し、調理工程で生まれた野菜くずなどから肥料を作り、それを農園で活用する。そんな新しい循環をめざして建設した「たい肥舎」が動き始めました。
また、遊歩道を整備することで、散策を楽しんで下さる方も見かけるようになりました。

左上:2021年夏から少しずつ稼働し始めたたい肥舎、右上:ラシェットエリアの散策を楽しむ方

このラシェット計画を通して、気が付くことが多くあります。

用水を勢いよく流れる心地よい水の音、飛び跳ねる小さなカエル。
歩みを止めると肩にとまる赤とんぼ、雨を弾いて揺れるレンコンの葉の緑、飛来する鳥たち。
陽が沈むのを待って、活動を始める虫たちの音と光。

季節のラシェットエリアで出会うたくさんの自然のかけらを拾っていくと、
この里の豊かさこそがわたしたちが次世代へつなぐべき大切なものだと改めて気づかされるのです。

時代が変わるとともに新しい課題も生まれます。でも、それを共に乗り越えて、私たちの豊かさをつないでいけますように。
そんな祈りと決意を込めてラシェット計画は続いていきます。


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