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まめや金澤萬久

【まめやのものづくりに迫る・前編】~手描き豆箱の現場にふれて~

2022.04.05

まめや金澤萬久の豆箱。季節の花や風物詩、可愛らしい動物など、温かみあふれる手描きの絵柄が特徴の萬久の顔ともいえる存在です。
繊細な筆遣いとやさしい色合いで紡ぐその絵柄は、石川県の伝統工芸品「九谷焼」にも使われる絵付け法で施され、一枚一枚丁寧に描かれています。

様々な絵柄で絵付けされる豆箱。優しい絵柄と色合いがコロンとした豆箱のフォルムとマッチして見ているだけで温かな気持ちに。

これらの豆箱は全て、能美市のとある九谷の里の方々の手によって1枚ずつ手描きで絵付けされています。
優しい絵柄に加えて、手描きゆえの1枚1枚の表情の違いによって、心がほっこりする豆箱が出来上がるのです。

今回はそんな手描き豆箱という「ものづくり」に着目し、豆箱が生まれる現場について、そして生産者のものづくりに込めた思いを前後編にわけてお送りいたします。

■絵付けの現場にお邪魔しました。

3月某日、まだ肌寒さが残る春の日に、豆箱が生まれる現場、つまり実際に絵付けを手掛ける場所にお邪魔してきました。
そこは、手描き豆箱の絵柄のデザインを手掛ける 中久美子(なかくみこ)さんのご自宅兼、作業場。絵付けの見学に加えて、制作秘話などいろいろなお話を伺ってきました。

中久美子さん(左から2番目)と、中さんと一緒に絵付けを手掛ける南まり子さん(左から3番目)。

■手描き豆箱の絵柄ができるまで

豆箱の絵柄は、当社の萬久企画担当から中さんに制作オーダーをすることからはじまります。そのオーダーというのも、特注品を除いて、例えば「春の花」「お中元に使うもの」といったように抽象的なもの。具体的に描写するものやそのデザインは中さんにお任せする形になります。サンプルを描いていただいて、それをもとに打ち合わせ・調整を数回重ねて絵柄が決定します。

今回も初夏~夏の季節の絵柄と年末の干支の絵柄について、萬久企画担当と中さんで打ち合わせがありました。
昨年のものと比較しながら同じものでいくか、ブラッシュアップするのか、など細かく決めながら、納期なども確認して打ち合わせは終了。

このようにシーズンごとに打ち合わせを重ねながら、それにあわせて制作を行なって、出来上がった豆箱が店舗に並びます。

豆箱打ち合わせの様子。

■絵付けの様子を見せていただきました。

打ち合わせも終わり、絵付けの様子を見せていただけることに!

絵柄はなんでもいいよ、と仰っていただいたので、せっかくなので春のかわいらしい花の「チューリップ」をリクエスト。 九谷焼の技法を取り入れたという絵付け法も丁寧に教えていただきながら、食い入るようにまじまじとその様子を目と写真に焼き付けてきました。

(1)型描き

1枚1枚の表情の違いが魅力の豆箱ですが、描く位置や内容(花びらの枚数など)が変わってしまうと商品としての価値は薄らいでしまいます。また絵付けの職人さんも約30人もいらっしゃるわけなので、基本的な位置合わせのようなものが必要です。

そこで使用するのが九谷焼の絵付けでもつかわれる「型描き」という手法。
竹紙(ちくし)という竹を原料としてつくった和紙に、桐炭(桐の木炭)で絵柄の輪郭や線・点などを描きます。これを絵柄の模型のようにして使います。

型描きの様子。描きたてのままだと炭の状態に戻ってしまうので、乾かせてから次の型摺の工程に入ります。

(2)型摺(かたずり)

竹紙の桐炭で描いた面を無地の豆箱に軽く押し付けます。そうすると、うっすらと線が転写されるので、それをもとに色を付けていきます。

型摺の様子。型描きでつくった絵柄を無地の豆箱にのせていきます。
豆箱に型摺をのせたあと。うっすらと桐炭の線が写っています。

(3)骨(こつ)描き

今回のチューリップの絵柄ではなかった工程ですが、絵柄によって輪郭をつけたいもの、また描写を細かく描きたいものには「骨描き」をします。
骨描きとは、九谷焼で彩色に入る前に、墨で輪郭線を引く技法。九谷焼では呉須(ごす)と呼ばれる黒褐色の釉薬を使いますが、豆箱では絵柄によって黒い絵具や鉛筆を使い分けながら骨描きを行ないます。

骨描きを使った豆箱の例。左の節分鬼の豆箱では豆を入れる升の輪郭に鉛筆を、下の犬の豆箱では犬の身体の輪郭に黒い絵具を使って骨描きをしています。

(4)彩色(さいしき)

絵具を使って筆で色付けをします。
色を混ぜたり、水で薄めたりしながら絵具の色を調整していきます。

絵具の色を調整する様子。

チューリップの花弁を塗り、そして茎・葉の部分を塗っていきます。
今回は2枚の豆箱を絵付けしていただきましたが、いつもは何十枚も一斉に描かれるので、まずはピンクの花を一斉に塗り、次は黄色の花を一斉に塗り、といったように色ごとに色付けしていくそうです。

チューリップの色付けの様子。

あれよあれよという間に2枚のチューリップの豆箱ができあがりました。

よくよく花弁の色をみると1色の中でも濃淡が。「色を水で薄めてね、これを重ねると色に奥行きが生まれるの」そう中さんは仰います。
奥行きが生まれることで、チューリップのコロンとした形が立体的に感じられます。さらにその色の重ね具合は1枚ずつ異なります。そうすることで1つ1つの表情の違いもしっかり感じ取られ、さらに温かみあふれる豆箱になりました。

出来上がった2枚のチューリップの豆箱。花弁の色の濃淡、茎や葉のなびく様子など、小さい表情の違いが表れています。

途中色を乾かす時間もありましたが、雑談を交えながらものの数分で2枚のチューリップの色付けを終えられました。
その光景にまさに職人の技をひしひしと感じながらも、ただただ本当に楽しそうに、絵柄1枚1枚を慈しむように大事に絵付けをされる中さんの姿がとても印象的でした。
長らく豆箱という商品に触れてきて、その価値や温かみは理解していたつもりでしたが、改めてその所以を感じた一日でした。

さて今回は、まめや金澤萬久の手描き豆箱の絵付けの様子をご紹介させていただきました。

近日公開する後編では、豆箱の生みの親である中先生の絵付けに対する思いや制作秘話などをご紹介させていただきます。 ぜひお楽しみにお待ちくださいね。