ぶどうの森

BudoonoMori JOURNAL

2024春号
2024春号

はじっこ活用は次のフェーズへ

「根本からレシピを見直していただけませんか?」パティシエにそうお願いしたのは、昨年秋ごろ。原材料費、人件費、輸送費などの生産コストは上昇し続けていましたが、それが止まらないことはもう分かっています。とりわけ近年は手ごろな果実の確保がますます難しく、果実を使ったタルトはご用意したいと願う価格で作り続けることができなくなってきました。 そんな中で白羽の矢が立ったのがバウムのはじっこです…

2024早春号
2024早春号

蒸留テロワール

中学校の理科の実験の記憶がある方もいらっしゃるでしょうか。蒸留とは「液体を熱してできた蒸気を冷やして再び液体にし、精製または分離を行うこと」です。そして蒸留にもいくつか種類があり、水蒸気蒸留(常圧蒸留)や減圧蒸留(図参照)と呼ばれる方法は、とりわけ植物の葉や花、果皮や樹皮などに含まれるエッセンスを抽出する方法として活用されています。
密閉された容器に入れた植物を蒸気で熱したり...

2023初夏号
2023初夏号

バニラの産地とオリジナリティ

スイーツは好きだがバニラ味は嫌いだ、という人にお目にかかった覚えがないくらい、私たちにとってバニラの香りはお菓子の基本的な構成要素の一つになっている気がします。しかしバニラは決してプレーン味ではありません。バニラ―ビーンズを原料として生まれる農産物由来の立派なフレーバーです。
そもそもバニラはラン科に属するツル性の植物で、原産地は熱帯アメリカ。黄緑色の花から細長い円柱形の実をつけますが...

2023春号
2023春号

ぶどうの森農園、いちござか

ぶどうの森・本店の敷地内、ぶどうの森農園のハウスで苺の栽培をはじめてから、今年で5回目の春。受粉を担うミツバチの管理、味わいを高めるための摘果など、地道で丁寧な仕事を重ね、畑で真っ赤に完熟した果実を一つずつ収穫しています。おかげさまで栽培技術も年々高まり、味わいに対しても高い評価をいただくようになりました。収穫量も安定し、2月後半から4月ごろまでの最盛期には...

2023早春ショコラ特別号
2023早春ショコラ特別号

カカオノキとその仲間たち

カカオノキ。つまりカカオの学名は「テオブロマカカオ」(Theobroma cacao)。テオブロマはギリシア語で「神々の食べ物」を意味することからも、神聖で貴重な素材として扱われてきたことがうかがえます。みんな大好きチョコレートの原材料ですが、どんな植物かをご存じの方は少ないのではないのでしょうか。
カカオノキはアオイ科の植物。ハーブの「マロウ」や「ハイビスカス」、日本でもお馴染みの...

2022夏号
2022夏号

カスタードクリーム、復刻。

英語の「カスタードクリーム」は、フランスでは「クレーム・パティシエール」と呼ばれます。 意味は「お菓子屋さんのクリーム」、エクレールやタルトなど多くのお菓子づくりに欠かせません。 その名の通り、店の味を決める大切なクリームです。基本的には、卵・砂糖・牛乳・小麦粉に香料などを加えて作りますが、シンプルなだけに材料の選定が非常に重要。 とりわけ、ぶどうの森では...

2022初夏号
2022初夏号

さあ、ピクニックへ!

桜が散ると、世界は次のステージへ。爽やかな風と穏やかな陽ざしが肌を優しく包み、仰げば空の青と野山の明るい緑色が視界に広がります。 「目には青葉山ほととぎす初鰹」という句のとおり、この素晴らしい季節は、目・耳・味わいはもちろん、からだ全部で楽しみたいものです。
そんな時におすすめなのがピクニック。感染状況が落ち着いてきたとはいえ、しばらく極力「密」を避けることが求められそうです...

2022春号
2022春号

果実を保存する技術

旬を迎えたみずみずしい果実の美味しさはこの上ないものですが、いつでも手に入るものではありません。 そこで私たちは父祖たちの叡智により、果実をさまざまな形で保存してきましたが、それは食べ物が不足する時期の栄養源とするだけでなく、 栄養価を高めたり、消化を促進したり、嗜好に合わせて美味しくするという役割も同時に果たしてきました...

2022早春ショコラ特別号
2022早春ショコラ特別号

カカオというフルーツ

私たちの暮らしの一部になったチョコレート。しかし、カカオがどのような工程を経てチョコレートの原料になるのか、ご存知の方はそう多くないのではないでしょうか。
カカオは、熱帯性の常緑樹で約1cmの小さな花を咲かせます。受粉から約半年後に「カカオポッド」と呼ばれるラグビーボール状の殻で覆われた実を結びますが...