BudoonoMori JOURNAL

旬を迎えたみずみずしい果実の美味しさはこの上ないものですが、いつでも手に入るものではありません。 そこで私たちは父祖たちの叡智により、果実をさまざまな形で保存してきましたが、それは食べ物が不足する時期の栄養源とするだけでなく、 栄養価を高めたり、消化を促進したり、嗜好に合わせて美味しくするという役割も同時に果たしてきました。
果実を乾燥させるドライフルーツや、砂糖を加えて加熱濃縮するジャムは歴史も古く、今日でも私たちの暮らしを彩るお馴染みの果実の保存食品です。

しかし近年では、保存性に加えてフレッシュさや出来立て感を保持する技術がますます高まっています。 その一つに食品加工に圧力を利用する「高圧処理」があります。 高圧処理は、色や香り、食感、味わいのような官能的な側面に加えて、消化性や栄養価についても損なわれる部分が少ないとして、 加熱に代わる新しい食品加工技術として注目されています。
ここ数年ぶどうの森では、高圧処理の中でもさらに特殊な中高圧加工装置を持つ株式会社スギヨさんに委託して、 石川県のブランド和梨「加賀しずく」をコンポートにしていただいています。 加賀しずくのみずみずしさや爽やかな香り、豊かな甘みや食感など、生果に近い風味をとどめながら、殺菌処理により長期保存が可能になり、 加工もしやすくなりました。ケーキなどの洋生菓子にも幅広く活用できる可能性が大きく広がりました。

旬も大切にしながら、日々の暮らしを豊かにし、次世代の食の環境も守っていく。 そのために新しい技術を積極的に活用していくことが、父祖たちから連綿と受け継がれてきた智恵の一部となり、 次世代への橋渡しになるのだと実感しています。私たちは、その一端を担うべく商品開発に尽力していきます。

自家製のぶどうジャムは職人が銅鍋で煮込んで製造します。

トルファン地区の仲間から直接仕入れるグリーンレーズン。じっくり陰干しすることで、みずみずしく透明感のある色を残します。